我が家でできる簡単災害への備え

我が家でできる簡単災害への備え

以前、私は地方公務員として教育委員会に配属され、社会教育事業を担当していました。

そこでは多岐に渡るテーマの学習講座の企画・立案に携わり、市民を対象に実施した経験を持ちます。

そんな講座の1つに防災講座がありました。

ちょうど東日本大震災が起こって間もない頃だったことも手伝い、非常にタイムリーな企画となり好評を博したことを昨日のことのように覚えています。

講座の内容としては、日頃からの防災への心備えをメインとし移動学習による疑似体験も交えました。

講師は、市役所の防災担当職員と元防災科学研究所研究員に依頼しました。

この元防災科学研究所研究員は地域の防災活動の脆弱さに危機感を覚え、自らコミュニティFM放送局を起ち上げるなど、バイタリティ溢れる実践的な講師だったことが印象に残っています。

ここでは、その時に私が学んだことを紹介していきたいと思います。

基本的な防災準備

講義はまず初めに、定番である食料や水、カセットコンロ等の準備の大切さから始まりました。

ポイントとしては、とりあえず3日分の備蓄をすることです。

災害直後は社協や行政も混乱していることに加え、災害規模の把握や人名救助などに追われ、なかなか被災者への食糧支援にまで手がまわりません。

目安として、災害発生から3日が過ぎたあたりから公的支援が行われ始めます。

したがって、最低3日間は凌げる準備をしておきましょう。

実は恥ずかしながら、私がカセットコンロを購入したのは最近のことであります。

昨今の地震や台風の脅威に、さすがの私も重い腰を上げました。

実際に鍋料理などで使ってみると、何と便利なことでしょう!

寒くてひもじい思いをした東日本大震災当時にカセットこんろがあれば、温かい食事にありつけたわけです。

そのことが記憶から蘇ると、カセットコンロは災害時における最高の贅沢品だと思わずにいられません。

目から鱗の防災グッズ

食糧等の準備については漠然と認識していたのですが、そのほかに講義の中でためになったことがあります。

それは寝床の傍らに靴や笛を用意しておき、いざという時に活用することの重要性でした。

例えば、夜中に災害が発生し、家から逃げる際のことを考えてみましょう。

屋外に裸足で出ることは、災害によりガラスや金属片等が散乱している可能性が高く、危険なのは誰でも分かると思います。

しかし、ガラスの破片等が散乱するのは屋外だけでなく、屋内でも十分に考えられることなのです。

しかも、夜停電になると部屋の様子が見えないため、裸足で歩くのは危険です。

スリッパやサンダルでも無いよりはましですが、ガラスの破片が貫通したり、踵が無いため脱げ易かったりするので厚底の靴の方がオススメだと聞き、目から鱗が落ちました。

安全靴だと、なおさら安心です。

そして、笛は建物や土砂の下敷きになり閉じ込められた際に鳴らすと、周りの人に気付いてもらえる可能性が高くなるということでした。

加えて、怪我をしたり長時間に渡り閉じ込めれたりすると体力的に消耗し、大声を出し続けることが困難になってしまうので、優れモノだと実感しました。

また、乾電池は防災グッズの必需品となります。

停電になった際に使用する懐中電灯や、災害情報を入手するための乾電池式携帯ラジオも乾電池がないと使えません。

この携帯ラジオ。平時ではあまり感じませんが、災害時になると一躍その有能性が発揮されます。なぜならば、災害が起こると停電になる確率が高く、電化製品が使用できなくなるため、携帯電話か携帯ラジオでしか情報収集が難しくなるからです。

携帯電話は連絡手段として、なるべくバッテリーを温存しておきたいことを考えると、情報収集にはラジオを活用したいところです。

最後に、台風などの大雨で道路が冠水した場合のリスクについても学ぶことができました。

冠水すると路面が見えなくなるため、マンホールの蓋が開いてしまっていた場合、運悪くそこから落下する危険があります。

マンホールに体が嵌ってしまうと抜け出すことが難しく、最悪の場合は溺れてしまいます。

状況によっては無理に避難することはせず、建物のできるだけ安全な場所に移動した方がリスクを軽減できます。

災害時のタイムライン情報共有の重要性

みなさんにお伝えしたいことが、もう1つあります。

それは、日頃から身近な人達と情報を共有しておくことです。

そのために考案されたのが、東京大学の目黒公郎教授の手による「目黒巻」です。

これは縦10㎝、横1m弱程度の巻物状の紙であることから「目黒巻」と名付けられました。

災害、例えば台風、地震などを具体的に設定し、自分が当事者になって災害が起こった日時や発生状況などをシートに書き込んでいきます。

発生状況は、なるべく具体的に自分がどこで何をしていたかを記載します。

そして、発生してから10秒後、1分後、10分後、1時間後といった具合に、自分がどういう行動をするか記入していくのです。

目黒巻には数時間後のみならず、最長で1年後ぐらいまで記入することが可能です。

実際にやってみると分かるのですが、意外と時間の経過とともに自分がどのような行動を取るのかを思い浮かべるのが難しいことに気づきます。

個人ワークが終了した後はグループに分かれて、それぞれの目黒巻を見比べて話し合いを行います。

すると、「3人寄れば文殊の知恵」ということわざのように、自分にはない別角度からの視点や斬新な発想などに触れることができるのです。

このように、具体的にイメージしながら災害のシミュレーションをしていくことは、とても有意義な作業だと痛感させられました。

地域のコミュニティやマンションの住人達と一緒に目黒巻を使ったイメージトレーニングをしてみることも、有意義だと思います。

しかし、やはり家族と一緒にやることが最も効果的なのではないでしょうか。

講師の話によると、日時や場所を同じ設定にして家族でやると、おもしろいほど考えていることや行動がバラバラになるそうです。

なので、日頃から家族みんなでシミュレーションをして約束事を確認し、イメージの共有を図ることが大切です。

そこで話し合ったことを手帳や携帯電話にメモしたり、あるいはカードを作成したりして常備しておくと、いざという時に慌てず対応できるのです。

基本的な防災のまとめ

災害は、いつやってくるのか分かりません。

常日頃からの一人ひとりの災害への心構えこそが、異常気象にさらされた災害大国日本で生き残るキーワードなのではないでしょうか。